赤木沢



赤木沢(右)出合いから望む奥の廊下本流の朝(2005年9月24日撮影)


所在地富山市大山町
折立登山口 アプローチ亀谷温泉から有峰林道(1800円)を通り、有峰ダムを経由
登山口標高1355m
標   高太郎平2328m 薬師沢小屋1912m
標高差累積(+)1100m 累積(-)540m
沿面距離片道11Km
登山日2005年9月23日
天 候
同行者髙木
参考コースタイム
 山と高原地図(旺文社)
折立(2時間)三角点(2時間30分)太郎平(2時間15分)薬師沢小屋
合計6時間45分
コースタイム 折立(1時間25分)三角点<休憩15分>(1時間35分)太郎平<休憩40分>(2時間)薬師沢小屋
合計4時間50分<休憩1時間20分含む>


1日目

 今や全国区の赤木沢。当初、8月に予定していたのがずれ込んで9月の最終休日になってしまった。渓流釣り(イワナ)が大好きな高木を誘う。
 元来、残雪期の大日岳などで1人でテン泊などしていたアウトドア人間である。釣用に買わせた沢靴やスパッツで、本来の沢の楽しさも知ってもらおうと思った。


太郎平への登山道から眺める薬師岳
 

3時間15分で太郎小屋到着<休憩15分含む>
 
 赤木沢の日帰りは難しいので何処かで1泊いれないといけない。薬師沢小屋が一番いいのだが、山小屋の混雑ぶりにはうんざりしている。
 薬師峠にテントをはって一気に薬師沢を降り、奥の廊下から赤木沢を詰めて北ノ俣を経由して太郎平から折立まで降る予定をたてた。
 薬師峠でテン泊なら急がなくてもいい。小見(亀谷ゲートの近く)に8時に待ち合わせる。


ヤクシ沢の登山道を降る
 

薬師沢小屋到着
 
 折立を出発したのは8時47分だった。この時間の折立は人気(ひとけ)もまばら。キャンプ地で火をおこそうとやたらと団扇を仰いでいる人が可笑しかった。
 先を行く高木のペースが速い。「もっとゆっくり」と言ってもスピードが落ちない。荷物が重いのに1時間25分で三角点に着いてしまった。15分の休憩を入れる。


小屋の前の橋は修復工事中だった
 

ゴーロ帯のような奥の廊下を行く
 
 三角点からしばらくはアップダウンが続く樹林帯となる。樹林帯を抜けた頃から髙木のペースが怪しくなってくる。太郎小屋でビールを飲んで待つことにした。
 12時、太郎平小屋に到着。水分補給を兼ねてビールで乾杯。登山客で賑わう小屋の前でビールを飲んでいると街中にいるような錯覚に襲われる。
 そう、ここは薬師岳、雲ノ平、黒部五郎岳などの分岐点にあたる、山の交叉点なのだ。


渓流釣りの趣味を持つ高木が竿を出す
 

毛針でイワナをゲット
 
 薬師峠にテントを張るには日が高すぎる。テントを張ってしまったらやることがない。ついフラフラと先に進んでしまった。
 薬師沢小屋まで降るだけのように見えるが途中に少し登り返しがある。黒部峡谷へ落ち込んでいくイメージがある割には、沢を横切り、草原を行くきれいな登山道である。
 カベッケヶ原を横切り、少し降ると薬師沢小屋だ。小屋の前の橋は修復工事中だった。とりあえず缶ビールで水分補給する。
 橋の下に降りて遡行スタイルに代える。と言っても靴下と靴を履き替え、パンツの膝から下をはずし(ジッパーなので)沢用のスパッツをつけるだけだ。
 黒部川奥の廊下は水量が少なかったのかゴーロ帯を歩くだけだった。髙木が竿を出してイワナを釣る。毛針で5匹を釣り上げた。黒部川の夜は更けていった。

2日目

所在地富山市大山町
薬師沢 標   高1912m
標   高赤木沢出合1976m 中俣乗越2457m 折立1355m
標高差赤木沢481m 累積(+)905m 累積(-)1470m
沿面距離片道17Km
登山日2005年9月24日
天 候
同行者髙木
参考コースタイム
 山と高原地図(旺文社)
薬師沢(不明)赤木沢出合(不明)中俣乗越(2時間45分)太郎平(2時間50分)折立
コースタイム 薬師沢(55分)赤木沢出合(2時間50分)中俣乗越<休憩15分>(2時間25分)太郎平<休憩1時間5分>(2時間15分)折立
合計8時間55分<休憩1時間20分含む>



奥の廊下の彼方に朝日を浴びる黒部五郎岳
 

赤木沢出合いのナイアガラの滝
 
 7時20分、赤木沢出合に立つ。そこは自然が造りだした素晴らしい庭園であった。人間が趣をこらして造ってもこうはならないだろう。
 出合の左岸から高巻いて赤木沢に降り立つ。水に入るのが好きな人は高巻かず、沢沿いに歩いてもいいほどの穏やかな流れだ。


自然が造りだした庭園はスケールが大きい
 

赤木沢出合いを右岸に回り込んで撮る
 
 本流へ2人の釣り人が入っていく。赤木沢に入った単独の人も最初の滝の下で竿をたたんでいた。沢がきれいなので遡行に変更すると言っていた。これから食事らしい。
 最初の2段20mの滝は左側を通る。その上は多段に落ちる滑滝となっている。ここは何処を歩いてもいい。


高巻きした赤木沢から黒部川本流を望む
 

最初の2段20mの滝
 
 次から次へと滝が連続している赤木沢。どの滝がいつ現れて後方へ消えていったのか思い出せない。1回や2回遡行しただけではその全てを覚えられないだろう。
 時には沢芯を行き、へつり、高巻く。水流に足を入れ、岩を掴み、草を束ねて握る。何故、そのひととき、ひとときを大切にしなかったのだろう。
 夢の中の世界のように記憶があやふやになってしまっていた。


次は気持ちのいいナメ滝
 

4段20m(?)の滝
 
 薬師峠でテントを張るつもりが奥の廊下まで持ち込んでしまった。軽量化に気を配っていなかったので余分なものをたっぷり持ち込んでいる。重い。
 荷が重いと歩き方が変わってしまう。と言うより、変えざるを得ない。飛んだり跳ねたりが出来ない。勢いをつけて登ったような所も、すべて牛のような歩き方しか出来なかった。


滝を見下ろす髙木
 

余分なものを持ち込み過ぎたようだ 重い!
 

ここも右側の草付を高巻く
 

右側(左岸)に高巻く踏み跡が道のように..
 

シャワークライムと行きたいが...
 

このゴルジュは左側を行く
 


多段の滝も水量が少なくなってくる
 

似たような多段の滝にイワナの影が
 

行く手に40m程の岩壁が現れる
 

岩壁真下の4mの滝
 
 滝が途切れてふと見上げた前方に岩壁が立ちはだかっていた。流れはどこから?近づいてみると4m程の滝の右奥に30mの滝があった。
 近づかなければ見えない滝を幻の滝という。(幻の剱沢大滝) だったら、これは幻の赤木沢大滝?


岩壁の右奥に30mの大滝あった
 

右側からの高巻きの途中で大滝を撮る
 
 ここは滝のすぐ前の岩壁(左岸)を登る。垂直に近いがホールドはしっかりしているので登りやすい。ただ、途中の灌木に大きなリュックがひっかかるので閉口した。
 30mの大滝の上に4m程の滝があったが、大滝に隠れてその存在は薄い。他の場所にあれば直登したくなるような滝だ。


高巻きの岩場を行く高木
 

高巻いた左岸から大滝を見下ろす
 
 ヤクシ沢もそうだったが、大きな滝の上は滑滝になっているところが多いようだ。「ここで滑ったら滝にダイブだな」と、ここでも思った。
 滑滝の上で右から沢が一本流れ込んでいる。しばらく行ったところで又、右側から沢が流れ込んでいる。ここは小さな滝になっている。
 ここを辿れば赤木沢岳に向かうようだ。ここも無視して真っ直ぐ行く。沢は二つに分かれているがこれも左側を行く。水量は同じぐらいだった。


大滝の上の5mの滝
 

大滝の上はナメ滝と決まっているようだ
 
 ここからは感だけが頼りだ。次の別れは右を選ぶ。さらに次も右を選ぶ。そして次も右を選んだ。根拠はなかった。
 その沢も水が涸れたり流れたりになってくる。最後に沢の横から湧き出している源流に行き当たった。喉にしみいる冷たさだった。


稜線が見えてくる
 

水が流れていたり涸れたりするゴーロ帯
 
 水のない沢を詰め、草原に出る。植物を傷めないようにザラ場を選んで歩く。10時10分、なだらかになるとすぐに登山道だった。
 中俣乗越の最低鞍部に出たようだ。選んだコースは間違っていなかったようだ。だが、大滝から二つ目の右からの沢(2m程の滝になって流れ込んでいる)を遡上した方が楽しめるようだ。
 赤木沢に向かっている沢なので距離があり、滝も連続しているらしい。そちらが本コースかもしれない。


最後はなだらかな草原となる
 

中俣乗越近くの地唐と赤牛岳
 
 中俣乗越で沢装備から登山靴に履き替える。履き替えた靴下やスパッツが濡れていてリュックは軽くならない。いや、重くなっている。
10時25分、太郎平を目指す。これが思ったより遠かった。
 アップダウンを繰り返しながら赤木岳を越え、北ノ俣岳を越える。昨年、ここを歩いた時、リュックを担いでいた。次回、ここを歩くときも又、リュックを担いでいるような気がした。
 12時50分、太郎平小屋に到着。山の交叉点、太郎平は登山者で賑わっていた。缶ビールを飲みながら髙木を待つ。
 行く人、来る人を眺めているとフィルムを早回ししているような気がしてくる。音さえ消えていきそうだった。


赤木岳、北ノ俣岳を超えて太郎平へ
 

三角点で一休みする髙木
 
 13時55分、太郎平を後にして、退屈な登山道を下る。頭に浮かんでくるのは赤木沢の滝、滝、滝...
 短い距離に滝を連続させた、造られたような沢。赤木沢。今度はもっと身軽な恰好で来るから、もっと遊んでくれよな。